英語絵辞典はマストアイテム!
日本では、小学校での英語教育が現在,おそらくうまく機能していないこと、そして家庭での取り組み次第で、小学校英語の不十分さを補ったり、小学校に頼らず効果的に英語力の土台を作ることができることについては、「小学えいご絵じてん800」の紹介で書いた通りです。
家庭でできることとして、幼児~小学生に英語の語彙を教えるツールとして外せないのが、「英語絵辞典」です。絵や単語をペンでタッチすると、ネイティブの音声が出る便利な知育教材がいくつか販売されています。
中でも語彙数で他を圧倒しているのが、「音声タッチペン付き・アルクのえいご絵じてんSUPER」です。
「アルクのえいご絵じてんSUPER」は、2020年夏に「アルクの2000語えいご絵じてん」のリニューアル版として登場しました。私はリニューアル前の「アルクの2000語えいご絵じてん」を実際に試してみたのですが、自分の子育て時代にこれがあったら、絶対使っていたと思う。すごくいいです!
そのすごいツールの英語絵辞典が今回リニューアルされ、音声タッチペンの機能がパワーアップして、さらに使いやすくなりました。
ここでは「音声タッチペン付き・アルクのえいご絵じてんSUPER」(対象:3歳~12歳)のどういうところがすごいのか、紹介します。
※この記事で使っている画像は、主に旧バージョンの「アルクの2000語えいご絵じてん」のものです。
公式サイトはこちら ↓↓
「アルクのえいご絵じてんSUPER」のここがすごい!
アルクが厳選した2200語が収録されている
「アルク」といえば、英語教材開発会社の老舗中の老舗!「アルクのえいご絵じてんSUPER」の特徴は、まず他の絵辞典を圧倒する語彙数の多さです。アルクが厳選した2200語が収録されています。
中学生が高校受験のために使用する英単語集の収録語数は、2000語未満が多いです。そのことを思うと、2200語という単語数の重みが分かるのではないでしょうか。
但し、「アルクのえいご絵じてんSUPER」の2200語が、そのまま中学での学習に必要な語句というわけではありません。例えば体の部位の名称では、「アルク」には、bellybutton (おへそ)、elbow (ひじ)、thumb (親指)なども収録されていますが、これらは公立中学の教科書には出てこないと思います。
In the Country (田舎で)というページでは、生き物の名前が収録されていますが、例えば、そこに登場する mole (もぐら)、ladybug (てんとう虫)、mosquito(蚊)、cicada (セミ)なども中学校では習いません。
しかしそれが「アルクのえいご絵じてん」の良いところだと思います。つまり、日本の受験英語にとらわれず、生活の中で使う語として知っておくべき語句が、収録されているということです。
その証拠に、At Home Meals (家庭での食事)というページでは、「夕食」を表す単語として、dinner と supper の両方がきちんと併記されています。dinner は「豪華な食事」という意味合いがあり、欧米では、家庭での普通の夕飯を supper と言う家庭が多いようですが、中学校ではなぜか 「夕食」=dinner のみで、supper は教えません。
また中学校では、「料理する」= cook のみしか教えませんが、「アルクのえいご絵じてんSUPER」では、peel (皮をむく)、slice (薄く切る)、boil (沸かす)、steam (茹でる)、pour(注ぐ)、fry (炒める)、chop(ぶつ切りにする)、mix(混ぜる)、stir(かき混ぜる)、crack(割る)・・・など、一目見て分かるイラストと共に、たくさん教えてくれています。
アルクによれば、「12歳までに身につけたい語彙2200語」を厳選して収録しているとのこと。掲載されている語句を見ると、アルクの英語絵辞典のこだわりと質の良さが納得できます。受験英語に縛られないで、真の英語力を幼いうちから身に付けることに効果があることが伺えます。小学校で習う単語ももちろんカバーされているので安心です。
バラエティーに富んだネイティブ音声
英語絵辞典において音声つきペンでネイティブ発音(アメリカ発音)が聞けるのは当たり前です。しかし「アルクのえいご絵じてんSUPER」では、男性の声、女性の声、男の子の声、女の子の声(大人による子供の声?)と場面によって変わるので、物語を聞いているような感覚で飽きません。会話の部分は感情がこもっていて、聞いていて楽しいです。
旧バージョン「アルクの2000語えいご絵じてん」では、絵ではなく文字をタッチすることで音声が出るので、英単語と発音を結び付けて覚える効果がありました。
一方、新バージョン「アルクのえいご絵じてんSUPER」では、絵と文字の両方をタッチすると音声が出るように改良されました。これで英単語と発音、物と発音の両方について結び付きがしやすくなりました。また幼いお子さんにとって使いやすくなりました。
動詞には印&目的語がついている
「アルクのえいご絵じてんSUPER」には、動詞も豊富に収録されています。動詞は英文を作る上で要となるので、たくさんインプットできることは大いに評価できます。
しかもアルクでは、動詞には他の語と区別するために、水色の枠がついています。
そして素晴らしいのが、目的語をとる動詞には、目的語の部分がカッコ( )で示されていることです。
【前置詞+名詞】の形が後に続く動詞には、その部分がカッコ( )で示されています。
動詞が目的語をとるのか、その場合はどういう目的語が来るか、あるいは【前置詞+名詞】が後ろに来る動詞なのか。これは高校受験、大学受験では超重要なことで、しかも中学校では、先生にもよりますが、あまり丁寧に教えてもらえないことです。英語が得意な人とそうでない人の分かれ道にもなります。
「アルクのえいご絵じてんSUPER」で、最初に動詞に出会う時から、目的語の扱いも含めて正しくインプットできるのは、すごいです!!こんな配慮がなされている英語絵辞典は、おそらく他にはないと思います。
品詞別・種類別のページ構成
英単語を覚える際に、品詞も正しくインプットしたいです。例えば happy は「幸せな」(形容詞)であって、「幸福」(名詞)ではありません。こういうことを適当にやっていると、英語が苦手な中学生、高校生になってしまいます。
しかし幼い子に「品詞」といっても難しいです。
ところが「アルクのえいご絵じてんSUPER」では、ページ毎に同じ品詞・種類の語彙が収録されているので、「品詞」という概念がなくても、語彙のグループごとに正しくインプットする効果が期待できます。
例えば形容詞ばかりのページ(形容詞ページはたくさんあります):
前置詞(句)のページ:
職業名のページ:
英単語はバラバラに覚えるよりも、関連付けて覚えた方が記憶に残りやすいです。語彙がうまくグループごとに収録されている「アルクのえいご絵じてんSUPER」は、子どもにとって正しく理解しやすいだけでなく、定着しやすい効果もあると思います。
63ものシーンを11人のイラストレーターが描いている
アメリカ中西部が舞台です。イラストを通してアメリカ文化に触れる効果もあります。
例えば “A Year”(1年)というページ:
7月の絵は “Fourth of July=Independence Day”(7月4日=アメリカの独立記念日)となっています。日本の小中学校の英語活動で ハロウィーンは扱っても、独立記念日は扱わないところが多いと思います。
9月の絵は “back to school”(学校に戻る、つまり進級)。11月の絵は “Thanksgiving Day”(感謝祭)です。
「アルクのえいご絵じてんSUPER」では雑学的な情報もインプットできる効果がありそうですね。ちなみに “A Year in Japan”(日本の1年)というページもあります。
この他にもアメリカを感じさせる見ていて楽しいイラストが満載です。複数のイラストレーターが分担して描いているので、何冊もの絵本を見ている感覚があります。場面によって絵のタッチが変わるので、子供が飽きません!
会話・チャンツ・歌・クイズも収録されている
「アルクのえいご絵じてんSUPER」では、イラストの場面に合った長めの「会話」も収録されています。ナチュラルスピードの英語ですので初めは難しく感じるかもしれません。しかし英語は「慣れ」が必要ですから、良いリスニングの練習になります。会話には感情がこもっているので、聞いていて楽しいです。別冊の「音声スクリプト」(原稿)で、文字で確認することもできます。タッチペンで聞きながら、一緒にスクリプトを読めば、英文を読む練習にもなります。
また、チャンツ、オリジナルの歌、単語探しクイズも収録されているので、単語を覚えるだけでなく、別の楽しみ方もあり、子どもを飽きさせません。ページ上の♪などのマークに「音が出るペン」で触れると、歌や会話やクイズを聞くことができます。
同ページ内で日本語訳を確認できる
英単語それぞれに数字が添えてあり、同じページの下にある同じ数字をタッチすると日本語の訳を聞くことができます。ペンがあれば子どもが1人で取り組めるので、親はラクです。
会話文は英語だけでなく日本語訳も感情をこめて収録されているので、面白いですよ。
保護者向けアドバイスと会話例が役に立つ
親御さんの中には、ご自分が英語が苦手で心配という方もいることでしょう。でも大丈夫です!「アルクのえいご絵じてんSUPER」では、各ページをどう使えばよいかのアドバイスが丁寧に書かれているからです。
キャラクター(リンゴ、チューリップ、ブロッコリーをモチーフにした3人のキャラクター)が話す会話例を真似すれば、各ページ掲載の語彙を使って、お子さんと英語のやり取りをすることができるようになっています。
<おうちの方へ>「~を見たことがある?」と尋ねるときは、”Have you ever seen …?”と言います。見たことがあれば、”Yes, I have.” です。Yes ならその動物の動きをまねる、というゲームをしても楽しでしょう。
あとはキャラクターによる会話例 ”Have you ever seen (a scorpion)?” のカッコ部分(テキストでは薄い字になっている部分)を別の単語に置き換えれば、何通りも簡単に英文が作れます。
ちなみにこの “Have you ever~?”という表現は、公立中学ですと3年生で習う文法項目(現在完了形)です。
楽しみながら中3範囲の英文法まで学習できてしまうのですから、アルクはすごいです!
索引を辞書として使用することもできる
「アルクのえいご絵じてんSUPER」は巻末の索引が、英語から日本語、日本語から英語と充実しているので、はじめての英語の辞書としても使うことができます。辞書が引けるということは、単語の出だしの文字なども覚えているということ。単語の意味が思い出せないと思った時に索引で調べてみることで、スペルの記憶の定着にもつながりそうです。
ちなみに索引中の「初」「中」「上」は単語のレベル(初級、中級、上級)を表しています。初級・中級レベルは濃い文字で、上級レベルは薄い文字で書かれています。
「アルクのえいご絵じてんSUPER」まとめ
「アルクのえいご絵じてんSUPER」はちょっとお高い(14,960円)ですが、子どもの英語力のために効果絶大な英語絵辞典なので、その価値は充分にあると思います。
「英検に役立つ小学生えいご絵じてん800」と比べると両方魅力的ですが、語彙数や内容の豊富さ、品詞の配慮などの面で、「アルクのえいご絵じてんSUPER」の方に軍配が上がりそうです。
「2200語は多すぎるかも」と不安に思われたり、特に英検(5級・4級)を意識しているご家庭では、「英検に役立つ小学生えいご絵じてん800」を選ぶというテもあります。
良い教材を与えて、子供の知的好奇心を効果的にサポートしてあげましょう!